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鹿児島地方裁判所 昭和48年(行ク)3号 決定 1973年4月26日

申請人 鹿児島市職員労働組合

右代表者 岩重正

右訴訟代理人弁護士 亀田徳一郎

同 小堀清直

同 井之脇寿一

被申請人 鹿児島市教育委員会教育長 甲斐不二男

主文

被申請人が昭和四八年四月二五日付でなした中央公民館使用許可取消処分の効力を停止する。

申請費用は被申請人の負担とする。

理由

一  申請の趣旨および理由

別紙一に記載のとおり

二  被申請人の意見

別紙二に記載のとおり

三  当裁判所の判断

1  申請人提出の疎明資料によると、申請人は昭和四八年四月一九日被申請人に対し、使用期間を四月二七日午前八時三〇分から正午まで、使用目的を集会のためとする中央公民館使用願を提出したところ、被申請人は同月二一日許可証を申請人に発行して申請人に右使用願どおりの使用を許可したが、同月二五日付で別紙三のとおりの記載内容の書面により、右使用許可処分を取消し、これを申請人に通告したことが認められる。

右事実によると、右使用許可取消処分により、申請人が回復困難な損害を避けるため緊急の必要があることは、申請人の企画する集会の一回性、および開催日時の切迫性に照らして明らかである。

2  被申請人は、申請人の企画する集会は違法なストライキと密接な関連をもつ集会であるから、鹿児島市公民館条例第四条第四項第一号および第二号に該当するので、同条例第五条第一項第四号により許可を取消したもので違法はない旨主張する。

ところで、同条例第五条第一項第四号によると、前条第四項各号の一に該当するときは許可を取消すことができる旨定められているところ、第四条第四項第一号には、「公の秩序を乱し、または善良の風俗を害するおそれがあると認められるとき」と、同二号には「公益を害するおそれがあると認められるとき」と規定されている。

しかして、四月二七日に企画されている半日ストライキが地方公務員法第三七条第一項に違反することは明らかであり、かつ鹿児島市役所の窓口業務の停止をはじめ、清掃業務の中止、保育所の休業等市民の日常生活に重大な影響を与える行動であることは容易に推察されるところである。そして、申請人の企画している集会が予定どおり開催できるか否かが、事実上半日ストライキの成否にも多少の影響を及ぼすであろうことも推測される。しかしながら、右半日ストライキと集会とは観念的に飽迄別個のものであるばかりでなく、事実上も申請人の企画する集会に中央公民館の使用を許可するか否かが半日ストライキの実行の成否を左右するというほどの密接不可分な関連があるものとは考えられず、また集会自体の目的、態様が公序良俗に違反し、あるいは公益を害するおそれがあるものであることをうかがうに足りる疎明資料もない以上、本件集会は前掲記の条例の使用許可処分を取消し得る場合を定めた各条項に該当するものとはいえない。

3  してみると、申請人の本件申請は理由があるから、これを認容することとし、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 寺井忠 裁判官 出嵜正清 坂主勉)

<以下省略>

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